1996年に古馬も出走できるレースとなって以降、エリザベス女王杯は国内における牝馬ナンバーワン決定戦として定着しています。
春のヴィクトリアマイルがマイル戦であることから、秋に行われるこのレースを最大目標と位置付ける陣営もいて、数々の名勝負が繰り広げられてきました。
一方で、牝馬限定戦らしく波乱の決着となることも多いG1レースでもあります。
今回はこのエリザベス女王杯について、レース展開を予想してみたいと思います。
馬券検討をする上で、レース展開を重要視する方の参考となれば幸いです。
1:2022年エリザベス女王杯レース展開の3つのポイント
それでは2022年のエリザベス女王杯における展開予想をする上で、重要視すべき点をまとめてみました。
ポイント①:2022年も舞台は阪神競馬場
エリザベス女王杯は本来、京都競馬場で行われるレースですが、現在の京都競馬場は改修工事中です。
従って、前年の2021年に続き、2022年のエリザベス女王杯も阪神競馬場の芝2,200m戦が舞台となります。
阪神・芝2,200m戦は内回りコースです。
6月に行われる宝塚記念と同じ舞台です。
展開予想をする際も、例年のエリザベス女王杯における傾向だけではなく、阪神競馬場の傾向にも目を向ける必要がありそうです。
ポイント②:近10年は差し馬有利
まずは近10年のエリザベス女王杯における脚質別成績をチェックしておきましょう。
逃げ | 0・2・0・8 |
先行 | 2・5・1・28 |
差し | 8・3・8・59 |
追い込み | 0・0・1・46 |
マクリ | 0・0・0・2 |
古くはクイーンスプマンテの逃げ切り勝ち(2009年)などということもあったエリザベス女王杯ですが、近10年は逃げ馬による勝利はなく、2着が2回あるのみです。
一方で、追い込み馬も近10年では3着が1回あるだけですので、極端な戦術を取る馬に有利なレースとは言えないようです。
基本的には馬群の中団よりやや後方でレースを進める差し馬が有利と言えそうです。
ポイント③:阪神は逃げ・先行も通用する
次に10/23までに行われた、2022年における阪神・芝2,200m戦の脚質別成績も振り返っておきましょう。
2022年の阪神・芝2,200m戦は9レースが行われました。
逃げ | 1・3・1・4 |
先行 | 6・2・3・17 |
差し | 0・3・2・26 |
追い込み | 1・1・2・31 |
マクリ | 1・0・1・1 |
先ほどの近10年データよりも逃げ・先行馬の成績が良くなっています。
同じコースで行われた2022年の宝塚記念は、タイトルホルダーが2番手から押し切る競馬で勝利しました。
京都競馬場の芝2,200m戦よりも、阪神競馬場の芝2,200m戦の方が逃げ・先行馬に有利なコースと言えそうです。
レース展開を元に馬券検討をする際は、例年とはコースが異なる点も頭に入れておく必要がありそうです。
2:エリザベス女王杯2022の展開予想
この記事を書いている10/25時点で、各メディアからの報道や、前哨戦の結果から、2022年のエリザベス女王杯に出走すると見られている馬は次の通りです。
出走予定馬 | 騎乗予定騎手 |
アカイイト | 未定 |
アンドヴァラナウト | 未定 |
イズジョーノキセキ | 岩田康誠 |
ウインキートス | 松岡正海 |
ウインマイティー | 和田竜二 |
ウインマリリン | D.レーン |
サンテローズ | 福永祐一 |
ジェラルディーナ | 未定 |
スタニングローズ | 坂井瑠星 |
デアリングタクト | 松山弘平 |
テルツェット | 池添謙一 |
ナミュール | 未定 |
ピンハイ | 川田将雅 |
マジカルラグーン | 未定 |
ライラック | M.デムーロ |
ルビーカサブランカ | 未定 |
ローザノワール | 未定 |
現時点で名前が挙がっているのは、上記の17頭です。
フルゲートは18頭ですので、他に登録する馬が出てくる可能性もありますし、入れ替えもあるかもしれません。
ここでは、この17頭が全て2022年のエリザベス女王杯に出走する、という前提で展開予想を試みることにします。
2-1:エリザベス女王杯2022で先手を取れる馬
メンバー中で逃げ馬と呼ぶことが出来そうな馬は、ローザノワールではないでしょうか。
2021年12月のディセンバーステークスで逃げ切り勝ちを決め、2022年8月に行われた2走前のクイーンステークスでも逃げて3着に食い込んだ実績があります。
前走のアイルランドトロフィー府中牝馬ステークスでは、スタート直後に他の馬に先頭を譲りましたが、途中から逃げて、1,000m通過57秒9というハイペースを生み出す原因を作りました(結果は15着)。
少々無理をしてでもハナに立つレースをしたいタイプだと考えられます。
他に逃げる可能性があるとすれば、2走前の目黒記念で3着に逃げ粘っ太ウインキートスや、3走前のメトロポリタンステークスで逃げて4着に入ったウインマイティーだと思われますが、この2頭は前走では逃げていませんので、ローザノワールの直後でレースを進めることになりそうです。
2-2:エリザベス女王杯2022で注目の差し馬
例年、エリザベス女王杯では成長力という点で注目を集める3歳馬の存在感が大きくなります。
2022年もスタニングローズ、ナミュールという、秋華賞1・2着馬の参戦が見込まれています。
秋華賞で一度は目一杯に仕上げられている可能性があるので、秋華賞後の調整過程に注意する必要がありますが、馬群の中団から決め手を活かす差し馬勢の中では、最も注意すべき存在と言えるでしょう。
3:エリザベス女王杯2022のペース分析
前走のアイルランドトロフィー府中牝馬ステークスではハイペースの原因を作ってしまったローザノワールですが、2走前のクイーンステークスで3着に入った時は、1,000m通過61秒2という、緩いペースで逃げていました。
本来は自分のペースで折り合いを意識しながら逃げたいタイプであり、暴走気味に飛ばす馬ではありません。
問題は、その直後で流れに乗りたいウインキートスとウインマイティーの2頭がどの位置で仕掛けてローザノワールに競りかけるか?ではないかと思われます。
特にウインキートスの近2走は目黒記念3着、オールカマー3着と、牡馬相手のスタミナ勝負でも互角のレースぶりを見せていますので、手綱を取る松岡正海騎手の判断次第で、レースの流れは大きく変わる可能性があります。
ウインキートスと松岡正海騎手の仕掛けが遅いままで4コーナーを迎えた際には、ローザノワール、ウインキートス、ウインマイティーといった前の組が、もし途中からペースが上がるようなら、スタニングローズ、ナミュールといった3歳馬にチャンスが巡ってくることでしょう。
エリザベス女王杯の展開予想まとめ
ローザノワールが逃げることはほぼ間違いない、という、比較的展開予想がやり易いエリザベス女王杯になりそうです。
但し、ローザノワールが楽に逃げれば逃げるほど、そのローザノワールが番狂わせを演じてしまう可能性を否定できません。
ローザノワールを巡って、他の人馬たちがどんな駆け引きを見せるのか?が見どころであり、レース展開予想や馬券検討に大きく影響することは間違いありません。
逃げるローザノワールと鞍上の田中勝春騎手、そして直後でマークすると思われるウインキートスと松岡正海騎手が、それぞれ何を考え、どう判断してレースに挑むのか?
2組の人馬たちが、結果を大きく左右すると思われる2022年のエリザベス女王杯は、11月13日(日)に阪神競馬場の芝2,200mを舞台に、15時40分に発走となります。
さあ、2022年の最強牝馬はどの馬でしょうか?