競馬の世界において、レースの格が上がる、ということは、そのレースにおける近年の勝ち馬はその後、より大きなレースで活躍することを意味します。
つまり、そのレースのレベルが上がっていることになります。
2020年にG3からG2に格上げとなった富士ステークスも、近年になってレースのレベルが上がっている1頭です。
マイルチャンピオンシップの前哨戦としても重要なレースとなっています。
今回は2022年の富士ステークスをレース展開という視点で紐解いてみたいと思います。
1:富士ステークスのレース展開の3つのポイント
それではG3時代も含めた近10年の富士ステークスや、舞台となる東京競馬場の芝1,600m戦におけるデータから、展開予想をする上で重要だと思われるポイントをまとめてみました。
ポイント①:逃げ馬が不振
まずは、脚質別成績です。
逃げ | 0・0・0・10 |
先行 | 4・2・3・30 |
差し | 5・4・3・50 |
追い込み | 1・4・4・36 |
近10年で、逃げた馬が全く馬券に絡んでいません。
直線の長い東京競馬場らしい傾向ではありますが、同じ東京競馬場のマイル戦である安田記念でも逃げ切り勝ちが決まったケースがあることを考えると、少々意外な気がします。
レースの主導権を握る馬を探す、という目的とは別の理由で、どの馬が逃げるのか、気になるところです。
ポイント②:実績馬の脚質に注意
前述した通り、富士ステークスは2020年にG3からG2に格上げとなりました。
マイルチャンピオンシップや香港マイル、翌年の安田記念などのG1レースにおいて、富士ステークス上位入線馬が活躍することがその大きな理由です。
近年はG1馬の参戦もあります。
こうした実績馬たちは、他の人馬によるマークが厳しくなるものです。
どの位置でレースを進めるのか?を予想し、道中のペースを見極めることが、展開予想をする上で非常に重要となります。
ポイント③:乗り替わりに要注意
続いて、近10年の富士ステークスにおける、騎手の乗り替わりに関するデータをご紹介しましょう。
前走から騎手が乗り替わりとなった馬 | 6・6・5・68 |
前走と同じ騎手が騎乗した馬 | 4・4・5・58 |
富士ステークスが行われる10月は、短期免許で来日する外国人騎手の存在が目立つ時期です。
また、秋のG1戦線が既にスタートしていますので、次走も踏まえた騎手起用が見られます。
上記にも見られるように、乗り替わりの騎手が乗り替わりのない馬よりも結果を残しています。
騎手が替わると戦術が替わる、というケースは珍しくありません。
乗り替わりを展開予想に役立てるのは非常に難しいことではあるのですが、無視できないポイントとして頭に入れておきたいものです。
2:富士ステークス2022の展開予想
続いて、この記事を書いている10/6の時点で、各メディアの報道等により、2022年富士ステークスへの出走が見込まれている馬は、次の通りです。
出走予定馬 | 騎乗予定騎手 |
アオイクレアトール | 未定 |
イルーシヴパンサー | 未定 |
エアロロノア | 未定 |
クリノプレミアム | 未定 |
ザダル | C.ルメール |
サトノウィザード | 未定 |
シュリ | 未定 |
セリフォス | 藤岡佑介 |
ソウルラッシュ | 松山弘平 |
タイムトゥヘヴン | 大野拓弥 |
ダイワキャグニー | 未定 |
ダノンスコーピオン | 未定 |
ピースワンパラディ | 未定 |
ラウダシオン | 未定 |
ルフトシュトローム | 横山和生 |
現時点で、この15頭が出走すると見られています。
東京競馬場の芝1,600m戦におけるフルゲートは18頭ですので、他にも出走する馬がいるかもしれません。
また、中には富士ステークスではなく、翌週のスワンステークスへ駒を進める馬もいると思われますので、ご注意ください。
ひとまず、上記の15頭が全て出走するという前提で、レース展開予想を試みたいと思います。
2-1:富士ステークス2022で先手を取れる馬
上記15頭の中で、前走で逃げる競馬をいたのは、シュリだけです。
その前走・関屋記念では2着に粘り込みました。
まだ重賞勝利がない馬ですので、2着という結果を考えると、この「逃げ」という作戦は成功だった、と陣営は考えている可能性があります。
関屋記念の舞台だった新潟競馬場は、東京競馬場と同じ左回りコースで、直線は東京競馬場よりも更に長いコースですので、富士ステークスで再び逃げる可能性は十分にあります。
近10年で逃げ馬が全く馬券になっていない富士ステークスですが、マークされない逃げ馬ほど怖いものはありません。
但し、当初は京成杯オータムハンデキャップに出走予定だったのですが、競走除外となってしまった点が気になります。
中間の気配には注意が必要です。
2-2:富士ステークス2022で注目の差し馬
2022年の富士ステークスにもG1馬の参戦があります。
2020年のNHKマイルカップを優勝したラウダシオンが参戦すると見られています。
同年の富士ステークスで2着に入り、翌2021年には京王杯スプリングカップを優勝しています。
しかし、その京王杯スプリングカップ優勝後、勝ち星から遠ざかっています。
8戦続けて2〜3着もなく、ややスランプ気味と考えていいかもしれません。
前走では佐賀競馬場に遠征し、サマーチャンピオンで初めてダート競馬を経験しました。
結果は12着と大敗し、ダートへの適性に疑問符が付く形となりました。
しかし、ダートを使ったことで馬が変わり身を見せるかもしれません。
東京競馬場で3勝を挙げているコース巧者でもありますので、見限るのはまだ早いでしょう。
実際、このラウダシオンがどんなレースをするかで、2022年の富士ステークスは、展開が大きく左右されると思われます。
3:富士ステークス2022のペース分析
前述した通り、前走の関屋記念で2着に逃げ粘ったシュリが再び逃げの手に出る可能性が高いと思われます。
シュリは除外明けで人気を落としていますので、後続のマークはそれほど厳しいものにはならないでしょう。
更にその後続の中にはG1馬ラウダシオンが控えています。
多くの人馬が意識するのは、シュリではなく、ラウダシオンの筈で、動き出すタイミング次第では、結果的にラウダシオンがシュリを可愛がる形となり、前残りの可能性も十分にあることも予想されます。
2022年富士ステークスの展開予想まとめ
逃げ馬の不振が続く富士ステークスですが、2022年は前残りの展開となり、これまでの傾向が大きく覆される結果となる可能性もあります。
但し、前残りとなった場合、その主役は近走不振のG1馬ラウダシオンと、前走が競走除外だったシュリの2頭となります。
どちらも大きな不安材料を抱え、信頼性に欠ける2頭です。
中間の気配には十分に注意が必要です。
その中間の状態に問題がなかったとすると、ラウダシオンも、シュリも、極端に人気を集める馬ではないだけに、場合によっては高配当をもたらしてくれる可能性も十分にあります。
この2頭の状態については、お手元の競馬新聞にある調教欄や厩舎コメントをご確認ください。
そして2頭について問題なしと判断した際は、思い切った勝負をするのも面白いかもしれません。
ラウダシオンとシュリ次第ではありますが、2022年の富士ステークスは、この2頭による「行った、行った」の展開で前残りとなるかもしれません。
その場合は高配当が確実で、穴党ファンにとっては大満足の富士ステークスとなるに違いありません。
波乱も期待できる2022年富士ステークスは、10月22日(土)に東京競馬場の芝1,600m戦で争われます。