国内最高峰のG1レース、ジャパンカップ。
日本で初めての国際レースとして、これまで海外のビッグネームが参戦し、他のG1レースにはない国際色溢れる戦いが繰り広げられてきました。
近年は日本競馬界のレベルアップや、馬場の違いなどから、スタートした当初とは少々様相が変わりつつありますが、それでも「世界」を感じる独特の雰囲気は変わりません。
今回は、2022年ジャパンカップにおける展開予想を試みたいと思います。
馬券検討の参考にしてみてはいかがでしょうか。
1:ジャパンカップにおけるレース展開の3つのポイント
まずはジャパンカップの展開予想をする上で、押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
ポイント①:近10年の脚質別成績は?
まずは近10年のジャパンカップにおける脚質別成績を確認しておきましょう。
逃げ | 1・1・1・7 |
先行 | 5・2・2・26 |
差し | 4・5・5・61 |
追い込み | 0・1・2・41 |
マクリ | 0・1・0・1 |
2016年にキタサンブラックが逃げ切り勝ちを決めており、逃げ馬も不利ということはありません。
その意味では、脚質別成績に極端な偏りはない、と言っていいでしょう。
むしろ、後方から直線一気という競馬で勝った馬がいないことの方が特徴的と言えそうです。
ポイント②:良馬場なら高速決着の可能性あり
2018年のジャパンカップで勝利したアーモンドアイが、2分20秒6という驚異的な世界レコードタイムを叩き出し、世界中の競馬関係者を驚愕させたことがありました。
近年のジャパンカップで外国馬の活躍が見られなくなった背景には、この日本独特の高速馬場が一因との声が上がっています。
同じ2,400m戦の凱旋門賞の走破タイムと比較すると、その違いは別競技と呼ぶべきレベルになっています。
前述した2018年のジャパンカップは、逃げたキセキを2番手のアーモンドアイがゴール手前で交わす、というレース内容でした。
キセキも2着に粘り込んでいます。
後方からレースを進めた馬たちは、「末脚が不発だった」というより、「レースの流れに乗ることができなかった」という形でした。
馬場状態が良く、走破タイムが速くなりそうな場合は、後方からレースを進める馬は厳しい戦いを強いられることになりそうです。
ポイント③:外国人騎手への乗り替わりに注目
レース展開を作るのは騎手なので、近10年のジャパンカップにおける騎手の乗り替わりについても調べてみました。
前走と同じ騎手が騎乗した馬 | 6・7・5・71 |
前走から騎手が乗り替わりになった馬 | 4・3・5・65 |
乗り替わりで勝利した馬が4頭いますが、この4頭はいずれも日本の騎手から外国人騎手に乗り替わったケースです。
外国馬の活躍が難しいレースになっていますが、外国人騎手は日本の高速馬場にも対応し、勝ち星を挙げている点に注目すべきでしょう。
2:ジャパンカップ2022の展開予想
続いて2022年のジャパンカップに出走を予定している馬たちをご紹介します。
この記事を書いている11/7時点で前哨戦の結果や各メディアの報道により、出走すると見られている馬は次の通りです。
出走予定馬 | 騎乗予定騎手 |
オネスト(外国馬) | 未定 |
グランドグローリー(外国馬) | 未定 |
シムカミル(外国馬) | 未定 |
ヴェラアズール | 未定 |
ヴェルトライゼンデ | 未定 |
カラテ | 未定 |
シャドウディーヴァ | 北村友一 |
シャフリヤール | C.デムーロ |
ボッケリーニ | 未定 |
ユーバーレーベン | 未定 |
現時点ではこの10頭の名前が挙がっています。
フルゲートは18頭ですので、この後で新たに出走が判明する馬もいると思われますが、まずはこの10頭が全て出走するという前提で展開予想を試みたいと思います。
2-1:ジャパンカップ2022で先手を取れる馬
日本調教馬7頭の中に「逃げ馬」と呼べる馬がいません。
一方で外国馬は日本のレースの流れに対応できるか、未知数ですので、スローペースだったとしても、逃げの手に出ることが可能なのか、不明です。
いずれにしても、押し出されるように先頭に立ってしまう馬が出てしまう可能性が高いです。
日本調教馬では、好位でのレース経験があるボッケリーニやユーバーレーベンが押し出されて逃げる可能性があると思われます。
2-2:ジャパンカップ2022で注目の差し馬
シャフリヤールが前走の天皇賞(秋)に続き、クリスチャン・デムーロ騎手が手綱を取ることになりそうです。
天皇賞(秋)は5着でしたが、海外遠征から帰国後の一戦であった点も少なからず影響したと思います。
2022年のドバイシーマクラシックを勝利しているように、2,400m前後の距離が最も向いている馬でもあります。
距離延長もプラス材料だと考えていいでしょう。
東京競馬場の芝2,400m戦は、2021年の日本ダービーを勝利した舞台でもあります。
ダービー馬となった舞台で再び輝きを見せる可能性は十分にあると思われます。
3:ジャパンカップ2022のペース分析
逃げ馬不在の顔ぶれです。
自らレースを引っ張る馬がいない以上、スローペースになると考えるのが自然です。
但し、スローペースが見込まれる競馬では、奇策に打って出る人馬が現れやすいので、その点を頭に入れておくべきでしょう。
特にジャパンカップは、時期的に外国人騎手が多く出走する時期でもあります。
外国人騎手は道中のペースを判断して、柔軟な騎乗をすることがありますので、想定外の馬が逃げの手に出て、道中のペースに影響を及ぼす可能性も否定できません。
また2,400mという、長丁場のレースでもありますし、大きな東京競馬場の4つのコーナー全てを使用するレースでもあります。
東京競馬場は上り坂もあるレースですので、途中から仕掛けることで急にペースアップする可能性もあります。
「逃げ馬不在」だからスローペースと決めつけて馬券検討をすると、痛い目に遭うかもしれません。
例年以上に展開予想が難解なジャパンカップになりそうですので、馬券を買うファンの側も柔軟な展開予想が求められることになりそうです。
2022年ジャパンカップの展開予想まとめ
2005年にアルカセットが優勝して以降、ジャパンカップを勝利する外国馬が出ていません。
スワーヴリチャードが優勝した2019年は、外国馬が1頭も出走しないジャパンカップでした。
レースが創設された頃とは違い、ジャパンカップにおける外国馬の存在が小さくなった点は否めません。
一方で、海外では既に競馬がオフシーズンに入っている時期ということで、短期免許で来日する外国人騎手が増えるシーズンでもあり、前述した通り、乗り替わりで騎乗した外国人騎手が近10年で4勝を挙げるなど、外国人騎手の存在感が増すのがジャパンカップの特徴となりつつあります。
名手と呼ばれる騎手は、「この馬はこんな脚を使えるのか」という驚きを競馬関係者やファンに与えてくれるものです。
こうした名手たちの騎乗に注目するのもジャパンカップの楽しみであり、新たな注目点というべきかもしれません。
コーナー4つを回る2,400m戦ですから、騎手同士の駆け引きも展開やレース結果を左右する大きなポイントと言えそうです。
果たして、2022年のジャパンカップで騎乗する外国人騎手たちは、どのようなサプライズを我々ファンに提供してくれるでしょうか。
馬だけではなく、名手たちの手綱捌きにも注目したい2022年ジャパンカップは、11月27日(日)に東京競馬場の芝2,400m戦で争われます。