2019年に産まれた競走馬たちの頂点を決める、2022年日本ダービー(東京優駿)の登録馬が5月15日(日)にJRA日本中央競馬会から発表されました。
フルゲートは18頭ですが、22頭が登録を済ませています。
本記事では、この日本ダービー(東京優駿)をレースの展開を元に予想します。
皐月賞や他のステップレースの結果や内容を踏まえ、展開という視点で第89代ダービー馬を予測します。
馬券検討をする上で、参考になれば幸いです。
1:まずは皐月賞を振り返る
日本ダービー(東京優駿)において、最も重要なステップレースと言えば、3歳牡馬クラシック第1弾皐月賞以外にありません。
2022年の皐月賞は、単勝オッズ9.1倍の5番人気馬ジオグリフが優勝し、1~3番人気馬は2~4着に敗れました。
まずはこの皐月賞の展開を振り返りましょう。
1-1:2022年皐月賞回顧
2022年 皐月賞(GⅠ) | ジオグリフ | JRA公式
多くの競馬ファンにとって、皐月賞のレース展開は事前に予測していたものとは大きく違っていたのではないでしょうか。
若葉ステークスでデシエルトが、スプリングステークスでビーアストニッシドがそれぞれ逃げ切り勝ちを決めていたのです。
トライアルレースで逃げ切っている馬が2頭もいるのですから、この2頭がハナ争いを演じて、ペースはある程度速くなるのではないか、と思った人が多かった筈です。
しかし、皐月賞でハナに立ったのはデシエルトでも、ビーアストニッシドでもありませんでした。
デシエルトはスタート直後に躓いてしまい、最後までハナを奪うことはできませんでした。
またビーアストニッシドはスプリングステークスとは違い、ハナに立つ素振りさえ見せませんでした。
この2頭の代わりにハナに立ったのは、弥生賞ディープインパクト記念では2番手から抜け出す競馬で勝利したアスクビクターモアでした。
逃げると思われた2頭が逃げなかったため、内枠を引いたアスクビクターモアが自然にハナに立つ形になったのです。
前半1000m通過は60秒2でした。
平均ペースよりもやや遅い流れと考えていいでしょう。
この流れがマイナス材料となってしまったのが、1番人気のドウデュースでした。
鞍上の武豊騎手は後方3~4番手から最後の直線での決め手に賭ける作戦でしたが、速い流れになり、前にいる馬のスタミナが消耗し、脚色が鈍るような展開にならないと、ドウデュースが浮上する競馬にはなりません。
その為、先にスパートしたジオグリフとイクイノックスを捕まえることができず、3着に敗れました。
ジオグリフとイクイノックスに関しては、スパートするタイミングをギリギリまで我慢した福永祐一騎手騎乗のジオグリフが、クリストフ・ルメール騎手騎乗のイクイノックスとの決め手比べを制した形となりました。
この皐月賞の結果を日本ダービー(東京優駿)の馬券検討に活かすためには、皐月賞と日本ダービー(東京優駿)の違いを再確認する必要があります。
1-2:皐月賞と日本ダービー(東京優駿)の違い
皐月賞は2000m戦で、日本ダービー(東京優駿)は2400m戦です。
この400mの距離延長が大きなポイントとなります。
皐月賞が行われる中山競馬場は右回りコースで最後の直線が短く、日本ダービー(東京優駿)が行われる東京競馬場は左回りコースで最後の直線が長い、というコースそのものの違いも大きなポイントとなります。
一般には距離が長くなれば、道中のペースは遅くなります。
また最後の直線が長くなるのですから、どの騎手も最後の直線での決め手比べに備えて、少しでもスタミナを温存させるために、前半はゆっくりしたペースで入ろうと考えます。
しかし、流れが緩くなればなるほど、その緩いペースに我慢し切れない馬が増えます。
長距離戦において、レースの中盤からスパートする馬が出ることがあるのは、このように我慢し切れず、無理に抑えるよりも行く気に任せようと騎手が手綱を緩めるのも原因のひとつなのです。
こうした馬が増えると、意外なハイペースのダービーとなってしまうことが時々あります。
2022年の皐月賞ジオグリフも距離に不安材料を抱えるドレフォン産駒です。
その皐月賞で出遅れて、ハナに立つことができなかったデシエルトもドレフォン産駒です。
こうした点から考えると、2022年の日本ダービー(東京優駿)は皐月賞とは逆に、ハイペースのレースとなる可能性を秘めているのです。
2:2022年日本ダービー(東京優駿)展開予想
それでは2022年日本ダービー(東京優駿)出走予定馬の顔ぶれを見ながら、展開予想を試みましょう。
展開予想をする上で、押さえておかなければならないポイントについても紹介します。
2-1:馬場状態も展開を大きく左右する
日本ダービー(東京優駿)は東京競馬場における春のG1・5連戦の4番目となります。
マイル戦で争われた1戦目と2戦目の勝ちタイムを確認します。
どちらも良馬場で争われ、1戦目のNHKマイルカップは1分32秒3(優勝馬ダノンスコーピオン)、2戦目のヴィクトリアマイルは1分32秒2(優勝馬ソダシ)でした。
いずれもG1レースらしいタイムです。
しかし、近年の東京競馬場はこの時期になると高速馬場となり、1分31秒台が出ることも珍しくありません。
今年はそこまでの高速馬場にはなっていません。
極端に速い馬場になった場合、ハイペースでレースが流れても、馬群の後ろからレースを進める馬が前の馬を捕まえ切れずに敗れることがありますが、2022年はそのような展開にはならないと考えられます。
また、速い時計での決着となる場合、内ラチ沿いを先行した馬がそのまま流れ込む結果となることが珍しくありませんが、2022年の芝コースは内ラチ沿いを走った馬が伸びを欠くケースが目立ちます。
馬場の内側があまりいい状態ではありません。
馬群の外で、馬場の中央から末脚を伸ばす、差し・追い込み馬にもチャンスがあるレースなのです。
2-2:天候次第で展開は変わる
しかし、差し・追い込み馬を管理する陣営や手綱を取る騎手は、常にあるリスクを認識しなければなりません。
雨で道悪になると、差し・追い込みが決まりにくい、滑ったり、ぬかるんだり、という馬場になってしまうのです。
一方で道悪になると、逃げ・先行馬のチャンスは広がりますが、なるべく前目のポジションを取ろうした人馬による逃げ・先行争いとなり、結果としてハイペースになってしまうことも珍しくありません。
展開予想をする上では、天候も重要な要素なのです。
2-3:逃げ馬は?ペースは?
皐月賞でハナ争いが出来なかったデシエルトとビーアストニッシドは、皐月賞で結果を残すことができなかった以上、日本ダービー(東京優駿)でハナ争いを演じる可能性は十分にあります。
注意したいのは、この2頭の他にハナを狙っている馬がいる点です。
その馬の名はピースオブエイド。
毎日杯で逃げ切り勝ちを決めた馬ですが、皐月賞へは出走せず、日本ダービー(東京優駿)に駒を進めた馬です。
ピースオブエイドが毎日杯と同様のレースを試みる場合は、意外なハイペースとなる可能性は十分にあります。
[banner file=’adbanner29′]3:展開予想から考える89代ダービー馬は?
距離延長とハイペース。
逃げ・先行馬には非常に厳しい条件が予想される展開です。
皐月賞では前を捕まえ切れなかったドウデュースの出番となる可能性が十分に考えられます。
直線一気の競馬で勝利した、前年の朝日杯フューチュリティステークスから考えて、器用な脚に欠けるドウデュースが逆に恵まれる可能性が高いです。
展開に恵まれずに敗れた皐月賞の雪辱を果たす日本ダービー(東京優駿)となるドウデュースが、89代ダービー馬に最も近い存在だと言っても過言ではありません。