2022年のマイルチャンピオンシップは、本来の舞台である京都競馬場が改修工事中の為、2020年、2021年と同様に阪神競馬場で行われます。
その為、マイルチャンピオンシップのデータ分析をする際は近年の傾向だけではなく、阪神競馬場の芝コースにおける傾向もチェックする必要があります。
今回は、2022年のマイルチャンピオンシップを、近10年の傾向と、阪神競馬場の傾向の両方からデータ分析を試みたいと思います。
1:2022年マイルチャンピオンシップをデータ分析する際の3つのポイント
それでは、2022年のマイルチャンピオンシップのデータ分析をする際における重要な点をまとめてみましょう。
ポイント①:乗り替わりはマイナスではない
短期免許で外国人騎手が数多く参戦する時期ですので、前走からの騎手の乗り替わりについて確認しておきましょう。
近10年のデータからは次の通りとなります。
前走と同じ騎手が騎乗した馬 | 4・8・4・74 |
前走から騎手が乗り替わりになった馬 | 6・2・6・71 |
近10年の勝ち馬10頭中6頭が前走から騎手が乗り替わりになっています。
このレースにおいて、騎手の乗り替わりはマイナス材料と考えるべきではなさそうです。
ポイント②:前走も重賞は必須条件、できればG1が望ましい
続いて、近10年のマイルチャンピオンシップにおける前走のクラス別成績です。
G1 | 5・2・2・24 |
G2 | 3・5・7・68 |
G3 | 2・3・1・47 |
重賞以外 | 0・0・0・6 |
近10年の勝ち馬10頭中5頭が前走でもG1レースに出走していました。
また、前走が重賞競走以外のレースだった馬は全く馬券に絡んでいません。
前走も重賞競走だった馬、という条件は、このレースの馬券検討をする上では必須条件と考えるべきです。
ポイント③:阪神・芝1,600m戦に強い騎手
続いて、2022年マイルチャンピオンシップの舞台となる、阪神・芝1,600m戦についても調べてみました。
2022年10月30日までに行われた42レースにおけるデータです。
2勝以上挙げている騎手は次の9名です。
幸英明 | 4・5・1・18 |
川田将雅 | 4・2・6・5 |
福永祐一 | 4・1・2・14 |
和田竜二 | 3・5・5・17 |
鮫島克駿 | 3・0・3・16 |
浜中俊 | 3・0・2・7 |
坂井瑠星 | 2・5・2・17 |
横山典弘 | 2・5・1・13 |
岩田望来 | 2・2・1・19 |
リーディングジョッキー争いとは少々異なる顔ぶれと言っていいでしょう。
特に4勝を挙げている幸英明騎手、川田将雅騎手、福永祐一騎手の3名については、阪神のマイル戦では警戒を怠ることは許されないと考えるべきではないでしょうか。
2:マイルチャンピオンシップ2022の展開予想
次に、2022年のマイルチャンピオンシップに出走すると見込まれている馬を紹介します。
この記事を書いている11/2時点で、前哨戦の結果や各メディアの報道により、出走すると見られている馬は次の通りです。
現時点では10頭の名前が挙がっています。
出走予定馬 | 騎乗予定騎手 |
ウインカーネリアン | 三浦皇成 |
サリオス | R.ムーア |
ジャスティンカフェ | 福永祐一 |
シュネルマイスター | 未定 |
セリフォス | D.レーン |
ソウルラッシュ | 松山弘平 |
ソダシ | 未定 |
ダノンザキッド | 北村友一 |
ダノンスコーピオン | 川田将雅 |
ファルコニア | 未定 |
フルゲートは18頭ですので、最終的には他に出走すると思われる馬もいますが、ひとまずこの10頭をデータ分析から評価してみましょう。
2-1:データからも、人気面からも魅力的なのはシュネルマイスター
この10頭の中で人気になりそうなのは、毎日王冠を勝って挑むサリオスと、富士ステークスを勝利した3歳馬セリフォスということになりそうです。
しかし毎日王冠も富士ステークスもG2戦です。
このメンバーで、前走がG1だった馬はシュネルマイスター1頭しかいません。
前走のスプリンターズステークスは9着でしたが、2021年にNHKマイルカップや毎日王冠を勝っているように、本来はもっと長い距離での競馬に適性があるタイプと考えるべきでしょう。
前年2021年のマイルチャンピオンシップで2着に入っている実績馬でもあります。
データ上からは最も有利ではないかと思われます。
2-2:ソダシも警戒が必要
この10頭の中で他に人気になりそうな馬と言えば、ソダシです。
白毛馬であるが故に、人気先行型でもあり、穴党ファンには頭が痛い存在です。
前走のアイルランドトロフィー府中牝馬ステークスで敗れたことで、評価を下げたくなる人も少なくないでしょう。
しかし、このソダシも軽視はできません。
ソダシにとって、阪神・芝1,600m戦は2020年の阪神ジュベナイルフィリーズ、2021年の桜花賞という、ふたつのG1タイトルを手にした舞台なのです。
2戦2勝で、桜花賞以来となる阪神・芝1,600m戦です。
得意とする舞台であり、前走の敗戦だけを見て軽視する訳にはいきません。
近2走は札幌記念5着、アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス2着と連敗中ですが、札幌記念の直後から「マイル戦がベストではないか」という声が出始めていました。
そう考えると、1,800m戦だった前走で2着に敗れたというのは、それほど悲観する材料ではない、ということも言えそうです。
馬券検討をする際には、ソダシもその候補に含めるべきでしょう。
3:データ分析からマイルチャンピオンシップ2022で狙うべき馬は?
前述した通り、前走がG1だったシュネルマイスターと、阪神のマイル戦を得意とするソダシの2頭がデータ上から注目です。
人気が見込まれるサリオスとセリフォスは、データよりも臨戦過程から軽視できない馬だけに、ソダシやシュネルマイスターと巧く馬券で絡めることで、意外な高配当が期待できる可能性を秘めています。
2022年マイルチャンピオンシップにおけるデータ分析のまとめ
G1レースの登録馬は、そのレースの2週間前にJRAから発表されます。
この記事を書いている11/1時点ではまだ発表前ですので、出走馬の情報を集めるのは限界があります。
それでも、手綱を取る騎手のスケジュールを確保する必要性もあり、ある程度の情報を集めることができるのは可能です。
ところが、現時点で10頭の名前しか挙がってこない、というのは異様です。
追加で参戦する馬がいるとしても、フルゲートの18頭に満たない可能性が高いです。
この10頭の中でも、調整の過程で故障したり、コンディションの問題から回避する陣営が出ることは容易に想像できます。
もし、追加の参戦馬が現れず、回避馬が出た場合、G1なのに枠連の発売がない8頭立て以下でのレースになってしまうかもしれません。
原因は、現時点で名前が挙がっている10頭の馬たちが、いずれもマイル戦線における実績馬であり、既に勝負付けが済んでいる馬や別路線組、更には昇級組などにとっては、出走する意味を問われかねない、というところではないでしょうか。
既に一部では出走頭数が少なくなるのではないか、との懸念の声も挙がっています。
ベテランの競馬ファンの中でも、フルゲートに満たない頭数で行われるマイルチャンピオンシップというのは記憶にない、という方も多いでしょう。
その意味でも、レースまでの間におけるこの10頭の動向と、新たに名前が挙がる馬の存在が気になります。
多頭数で争われることが多いレースのデータ分析ですので、頭数が少なくなってしまうと、その分だけ例外が増えてしまう点を懸念しています。
2022年マイルチャンピオンシップは、11月20日(日)に阪神競馬場の芝1,600m戦で争われます。