第1回の秋華賞が行われたのは1996年。
優勝馬ファビラスラフィンは単勝オッズ18.8倍の5番人気でした。
休養明けで人気を落としていた中での勝利で、波乱となりました。
3歳牝馬3冠戦線最終戦の秋華賞は、エリザベス女王杯が古馬牝馬も出走可能となったことから新設されたレースで、エリザベス女王杯として行われていた頃から波乱が多いレースでした。
一方で、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、デアリングタクトといった、後世に残る牝馬3冠馬となった馬たちが出現するレースでもあります。
今回は、2022年の秋華賞をレース展開という視点で探ってみたいと思います。
1:2022年秋華賞のレース展開の3つのポイント
まずは、2022年秋華賞の展開を予想する上で、頭に入れておかなければならない点を挙げておきます。
ポイント①:2022年も舞台は阪神競馬場
秋華賞は、京都競馬場の芝・内回りコースの2000m戦を舞台に争われます。
しかし、前年2021年の秋華賞は、初めて阪神競馬場の芝・内回り2000m戦で争われました。
京都競馬場で改修工事が行われていたことがその理由です。
工事は2022年も続いていますので、前年に続き、阪神競馬場で秋華賞が行われます。
同じ芝2000m戦でも、京都と阪神の違いを意識することは、レース展開を考える意味でも重要です。
ポイント②:直線の坂が展開を大きく左右する
本来、秋華賞が行われる京都競馬場の芝・内回りコースについて、騎手の中には「小倉競馬場と変わらない」と評する人もいます。
「淀の坂越え」と呼ばれる3コーナーの坂がある外回りコースと異なり、内回りコースは平坦です。
しかし、阪神競馬場の芝コースは、最後の直線に坂があります。
阪神で騎乗する騎手たちは、この最後の直線に設けられている坂を意識した騎乗をしなければなりません。
ゴール手前で逆転のドラマが起きる可能性は、京都よりも阪神の方が高いでしょう。
ポイント③:どの馬が逃げるのか?
記事を書いている9/19(月)時点で、各メディアが紹介している秋華賞に出走すると見られている馬たちの顔ぶれを見ると、何が何でも逃げたい、という馬は1頭もいません。
前走で逃げた馬が1頭いますが、逃げ馬不在から鞍上の判断で逃げたものであり、秋華賞でも逃げの手に出るとは限りません。
緩い流れの中、逃げ馬はマイペースで有利にレース運びを進めることができる可能性はありますが、一方で後続からのマークが厳しくなる可能性も否めません。
最終追い切り後に「逃げ宣言」をする陣営がいない限り、どの馬が逃げるのか?については、多くのファンが展開予想をする上で、頭を悩ませることになりそうです。
2:秋華賞2022の展開予想
続いて、秋華賞に出走すると見られている馬たちについて、それぞれの人馬がどんなレースを進めることになるのか、考えてみたいと思います。
まずは、現時点で出走すると見られている馬たちを紹介します。
フルゲートは18頭ですが、現時点では以下の15頭について、出走予定馬として名前が挙がっています。
出走予定馬 | 騎乗予定騎手 |
アートハウス | 川田将雅 |
ウインエクレール | 松岡正海 |
ウォーターナビレラ | 未定 |
エグランタイン | 未定 |
エリオトローピオ | 未定 |
エリカヴィータ | 福永祐一 |
サウンドビバーチェ | 岩田望来 |
スタニングローズ | 坂井瑠星 |
スターズオンアース | C.ルメール |
ストーリア | 未定 |
ナミュール | 未定 |
プレサージュリスト | 未定 |
メモリーレゾン | 未定 |
ライラック | M.デムーロ |
ルージュラテール | 未定 |
2-1:秋華賞2022で先手を取れる馬
前述した通り、出走予定馬の中で前走で逃げの手に出た馬は1頭しかいません。
その馬の名はサウンドビバーチェ。
トライアルの紫苑ステークスでスタート直後からハナに立ち、1000m通過60秒8という流れでレースを引っ張り、最後の直線でマークされていたスタニングローズに並ばれて叩き合いになり、クビ差で2着に敗れました。
サウンドビバーチェはこの時、デビュー以来初めて逃げる競馬を経験しました。
紫苑ステークスで初めてサウンドビバーチェの手綱を取った横山武史騎手はレース後、「逃げるプランはなかった」とコメントしています。
2着という結果から、この作戦を成功と判断している可能性があります。
そう考えれば、秋華賞でも逃げる可能性はありそうです。
60秒8という1000mの通過タイムは速いとは言えませんが、超スローペースと表現すべきものでもありません。
同様の作戦で今度は逃げ切り勝ちを狙うことも考えられます。
しかし、サウンドビバーチェが前走で逃げ粘った点は、他の馬に乗る騎手も当然のことながら頭に入っている筈です。
マークが厳しくなることを考慮して、今度はハナに立たない可能性もあります。
その場合、意図せずに押し出されて逃げる形になってしまう馬が他にいるかもしれません。
2-2:秋華賞2022で注目の差し馬
逃げる馬がサウンドビバーチェだった場合でも、他の馬だった場合でも、最も展開が有利となるのは、紫苑ステークスでサウンドビバーチェとの叩き合いをしたスタニングローズではないでしょうか。
最大のセールスポイントは、逃げ馬の直後で折り合いをつけてレースを進めることができる点で、オークスでも2着に入りました。
流れが速くなっても、緩い流れになっても安定したレースぶりが期待できそうです。
牝馬3冠がかかるスターズオンアースはもちろん有力ですが、オークスから直行の形で秋華賞に挑む点は気になります。
桜花賞がデビューから6戦目、オークスが7戦目と、比較的使われてから結果を出した牝馬2冠馬ですので、休養明けはプラス材料とは言えません。
オークス後に故障が判明した点も、スターズオンアースが前哨戦を使うことができなかった理由と考えられています。
紫苑ステークスを使われたスタニングローズの方が有力な差し馬だと評価すべきでしょう。
3:秋華賞2022のペース分析
紫苑ステークスと同様に、サウンドビバーチェが逃げる場合、1000m通過は60秒前後の平均ペースとなる可能性が高いです。
問題は、サウンドビバーチェ以外の馬が逃げた場合です。
サウンドビバーチェを楽に逃さないようにする為の作戦であれば、当然のことながら、ペースは更に上がります。
また秋華賞は、前走がオークスだった馬など、休養明けで出走する馬もいます。
久しぶりのレースでイレ込んでしまい、途中から抑えが効かずにハナに立ってしまうケースもあり得ますが、その場合は想定外のハイペースとなることも考えられます。
紫苑ステークスがそれほど緩い流れではなかったことから、サウンドビバーチェが逃げた場合でも、他の馬が逃げた場合でも、超スローペースとなる可能性は非常に低いと考えられます。
2022年秋華賞の展開予想まとめ
展開という視点で見た場合、サウンドビバーチェという馬がレースの鍵を握る大きなポイントと考えることができそうです。
そのサウンドビバーチェですが、秋華賞では横山武史騎手ではなく、岩田望来騎手に乗り替わりとなる予定です。
この乗り替わりも、秋華賞の展開予想をする上では非常に重要なポイントとなります。
横山武史騎手は紫苑ステークス後、「2000mという距離は長過ぎるかもしれない」ともコメントしていました。
こうした話を岩田望来騎手はどう考えて、どう判断してレースに挑むのでしょうか?
2022年の秋華賞における展開予想、そして馬券検討をする上で最大の注目点となりそうです。