スワンステークスは前年2021年に続き、2022年も阪神競馬場で行われます。
例年なら舞台となる筈の京都競馬場が改修工事中である為です。
コースが異なるということは、レースの展開予想についても考え方を変えなければならない点があるかもしれません。
そこで今回は、近10年のスワンステークスにおけるレース傾向と、2022年10月10日(月)までに行われた阪神競馬場・芝1,400m戦のデータを元に、2022年スワンステークスの展開予想を試みたいと思います。
1:スワンステークス2022のレース展開の3つのポイント
それでは、近10年の傾向と阪神競馬場のコース傾向を元に、2022年のスワンステークスを展開予想する際に必要となるファクターをご紹介します。
ポイント①:近10年の傾向からは逃げ馬に注意
まずは近10年のスワンステークスにおける、脚質別成績をご覧ください。
逃げ | 3・1・2・4 |
先行 | 0・1・3・33 |
差し | 5・7・3・46 |
追い込み | 2・1・2・43 |
一見すると差し・追い込み馬が有利なように見えますが、ひとつのレースにおいて最終的に逃げる馬は1頭しかいませんので、3頭が逃げ切り勝ちを決め、勝率30.0%というのはまずますの確率となります。
1,400mという距離は、スピードで押し切る馬がいても不思議はない距離だと認識すべきでしょう。
ポイント②:阪神・芝1,400m戦も逃げ・先行馬が有利
続いて、2022年に行われた阪神・芝1,400m戦の傾向も確認しておきましょう。
10月10日(月)までに行われた21レースを対象に集計しました。
逃げ | 4・5・2・10 |
先行 | 13・9・12・53 |
差し | 2・6・4・84 |
追い込み | 2・1・3・79 |
阪神競馬場の芝1,400m戦もどちらと言えば、逃げ・先行馬が有利となっています。
スワンステークスを予想する際も、前のポジションで流れに乗りそうな馬を中心視すべきです。
ポイント③:1枠1番の馬に注意!!
次に挙げるポイントは、例年のスワンステークスにおける傾向と、阪神・芝1,400m戦の傾向とで、大きく異なりますので注意が必要となりそうです。
近10年のスワンステークスで最内枠を引いた馬の戦績は、「0・0・0・10」と全く馬券に絡んでいません。
ところが、阪神・芝1,400m戦で1枠1番を引いた馬の戦績は21レース中で「3・2・1・14」で、勝率15.0%、連対率25.0%、複勝率30.0%ですので、決して軽視できない数字となっています。
同じく阪神競馬場で行われた、前年2021年のスワンステークスで1枠1番を引いたリレーションシップは7着でしたが、その隣の1枠2番だったサウンドキララは2着に入っています。
最内枠の1枠1番を引いた馬は、警戒が必要だと考えた方が良さそうです。
2:スワンステークス2022の展開予想
それでは、2022年のスワンステークスに出走を予定している馬を、各メディアの報道等からご紹介します。
この記事を書いている10/11時点での情報です。
グレナディアガーズ |
マテンロウオリオン |
ロータスランド |
ヴァトレニ |
ホウオウアマゾン |
ルプリュフォール |
ミッキーブリランテ |
サブライムアンセム |
ララクリスティーヌ |
キャプテンドレイク |
ベステンダンク |
ケイデンスコール |
現時点で出走すると見込まれているのは、上記の12頭です。
フルゲートは18頭ですので、この他にも出走する馬がいる可能性は高いですし、入れ替えもあるかもしれませんので、ご了承ください。
ひとまず、この12頭で2022年スワンステークスの展開予想を試みましょう。
2-1:スワンステークス2022で先手を取れる馬
上記の12頭中、前走で逃げた馬は2頭います。
キーンランドカップで逃げていたヴァトレニと、安田記念で逃げていたホウオウアマゾンです。
どちらも「何が何でも逃げ」というタイプではありません。
しかし前走から距離短縮となり、より速い流れのレースへの対応を求められるホウオウアマゾンより、距離延長となった分だけスタート直後の流れが緩くなるヴァトレニの方が、楽にハナに立つことができると考えるべきではないでしょうか。
ヴァトレニの前走、キーンランドカップは初めての重賞競走への出走でした。
結果は3着ですので、逃げる競馬である程度の結果を残すことができた、と考えるべきかもしれません。
3走前に3勝クラスを勝ち上がった際も逃げ切り勝ちでした。
当時は今回よりも長いマイル戦でした。
スタミナもあるタイプで、距離延長にも対応できると考えた方が良さそうです。
2022年のスワンステークスで、ヴァトレニは注目の逃げ馬になりそうです。
2-2:スワンステークス2022で注目の差し馬
逃げるヴァトレニをホウオウアマゾンや、2021年の富士ステークスで逃げの手に出たことがあるロータスランドなどが直後でマークする形になりそうですが、注目したいのは3歳馬マテンロウオリオンです。
2022年1月のシンザン記念を勝った馬で、当時は好位3番手から抜け出しての勝利でした。
前走の日本ダービー(17着)は後方からのレースでしたが、これは明らかに2,400mという距離を意識したレースぶりであり、本来はシンザン記念のように、逃げ・先行馬を直後でマークしながらレースを進めるのが理想だと思われます。
シンザン記念の後も、ニュージーランドトロフィーで2着、NHKマイルカップで2着という実力馬です。
阪神・芝1,400mは2021年12月の万両賞(2歳1勝クラス)を勝利した舞台でもあります。
当時は未勝利馬ながら1勝クラスに格上挑戦しての勝利だったことで話題となりました。
差し馬の中では、マテンロウオリオンに要注意です。
3:スワンステークス2022のペース分析
逃げるヴァトレニは楽にハナを奪うことができそうです。
但し、前走から距離が延長されていますので、折り合いに注意が必要となりそうです。
マイル戦で勝ち星がある馬で、全く折り合わず、制御不能となる心配はなさそうですが、前走で速い流れを経験した反動については馬券検討をする側も考慮しておく必要があるでしょう。
このヴァトレニをマテンロウオリオンなどの後続馬がどの辺りで捕まえに行くのか?という点にも注意が必要になりそうです。
ヴァトレニはスタミナもありますので、多少流れが速くなっても、そのまま押し切ってしまう可能性も十分にあります。
だからといって、早めに動く馬がいるとすれば、その馬の脚色がゴール前で上がってしまうかもしれません。
ヴァトレニの逃げに、他の人馬がどう対応するのか?
この点が2022年スワンステークスの展開を予想する上で、最大のポイントとなりそうです。
スワンステークスの展開予想まとめ
スワンステークスに出走した馬の多くは、次にマイルチャンピオンシップに駒を進めることでしょう。
そのマイルチャンピオンシップに出走するために、スワンステークスで賞金を積み上げておく必要があるのか?それともスワンステークスはマイルチャンピオンシップへの脚慣らしでいいのか?という視点も、スワンステークスでの展開を考える上で、大きな要素となるかもしれません。
逃げが予想されるヴァトレニは、G1に出走する為の賞金をさらに積み上げる必要がある馬だと思われます。
次走を考える前に、まずは今回に全力投球かもしれません。
では他の人馬はどうなのか?
展開予想をする際は、こうした視点も必要となるのです。