いわゆるマイラーからステイヤーと呼ばれる馬までが出走するG1レース、それが2,000m戦で争われる天皇賞(秋)です。
もちろん、この距離を最も得意とする馬もいますが、ベストとは言えないが守備範囲の距離、という馬も参戦します。
多様な適性を持つ馬が集うG1レースです。
馬券検討をする上で、近10年の天皇賞(秋)のデータ、そして東京・芝2,000m戦のデータは非常に重要です。
こうしたデータの中から、注目すべきものをご紹介します。
1:天皇賞(秋)データ分析の3つのポイント
まずは近10年の天皇賞(秋)におけるデータからご紹介します。
ポイント①:セオリーは毎日王冠組だが、近年は異変あり
まずは、前走のレース別成績に注目しましょう。
勝ち星を挙げたレースのみをご紹介します。
毎日王冠 | 3・1・5・37 |
安田記念 | 2・2・1・4 |
宝塚記念 | 1・3・3・14 |
札幌記念 | 1・1・0・15 |
オールカマー | 1・0・0・21 |
京都大賞典 | 1・0・0・13 |
日本ダービー | 1・0・0・1 |
天皇賞(秋)と言えば、前走・毎日王冠組を狙え、というのは、今も昔もセオリーです。
しかし、近年はその異変に変化が生じつつあるようです。
2019年と2020年に連覇したアーモンドアイは、2年続けて安田記念から休養を挟み、ぶっつけで挑んでの勝利でした。
また2021年優勝馬エフフォーリアは、日本ダービー以来の勝利でした。
春のG1以来の出走となる馬でも、休養明けだから軽視すべきではありません。
ポイント②:6歳以上の馬は軽視すべき
続いて年齢別成績です。
3歳 | 1・1・1・9 |
4歳 | 3・6・4・27 |
5歳 | 6・3・4・38 |
6歳以上 | 0・0・1・54 |
近10年で6歳以上の馬には連対がなく、3着が1回のみという状態です。
若い馬を狙うべきで、高齢馬は軽視して良さそうです。
ポイント③:459kg以下の馬は厳しい
次に馬体重別の成績も確認しておきましょう。
はっきりとした傾向が見られるようです。
459kg以下 | 0・0・1・12 |
460〜479kg | 0・6・3・29 |
480〜499kg | 6・2・3・49 |
500〜519kg | 3・2・3・30 |
520kg以上 | 0・0・0・9 |
近10年で479kg以下の馬に勝ち星がありません。
特に459kg以下の馬は3着が1回あるだけです。
軽量馬には不利なレースとなっています。
一方で520lg以上の大型馬も、近10年で馬券圏内に入っていませんので、軽視していいでしょう。
2:東京・芝2,000mもデータで紐解いてみる
続いて、天皇賞(秋)の舞台となる、東京・芝2,000mの傾向も確認しておきましょう。
2022年に行われたレースを集計しました。
10/10までの間に25レース行われました。
2-1:東京・芝2,000mを得意とする騎手
ますは東京・芝2,000mにおける騎手別成績です。
C.ルメール | 5・1・2・9 |
戸崎圭太 | 4・3・1・10 |
M.デムーロ | 3・1・4・6 |
横山武史 | 3・1・4・6 |
田辺裕信 | 2・2・1・9 |
菅原明良 | 1・2・0・10 |
福永祐一 | 1・1・1・2 |
石川裕紀人 | 1・1・0・6 |
横山和生 | 1・0・2・6 |
岩田康誠 | 1・0・0・3 |
池添謙一 | 1・0・0・2 |
幸英明 | 1・0・0・1 |
藤岡佑介 | 1・0・0・1 |
C.ルメール騎手が5勝でトップです。
同騎手をはじめ、上位で名前が登場する騎手の多くは、2022年天皇賞(秋)でも騎乗予定馬がいます。
コースを手の内に入れている騎手たちですので、要チェックですよ。
2-2:7番人気以下は軽視すべき
次に単勝人気別成績です。
1番人気 | 9・6・2・8 |
2番人気 | 4・5・2・14 |
3番人気 | 5・5・5・10 |
4番人気 | 2・3・7・13 |
5番人気 | 2・1・3・19 |
6番人気 | 3・1・1・20 |
7番人気以下 | 0・4・5・130 |
勝ち星を挙げているのは6番人気までの馬です。
7番人気以下の馬は、2着までしかありません。
穴党ファンの方が人気薄の馬を狙う場合は、ヒモ穴として買い目に入れる、という戦術が無難だと思われます。
3:天皇賞(秋)2022出走予定馬でデータ上有利な馬は?
この記事を書いている10/14時点で、2022年天皇賞(秋)に出走するとして、各メディア等で報道されている馬は次の通りです。
出走予定馬 | 騎乗予定騎手 |
アフリカンゴールド | 国分恭介 |
イクイノックス | C.ルメール |
カデナ | 三浦皇成 |
カラテ | 菅原明良 |
ジオグリフ | 福永祐一 |
ジャックドール | 藤岡佑介 |
シャフリヤール | C.デムーロ |
ダノンベルーガ | 川田将雅 |
パンサラッサ | 吉田豊 |
ポタジェ | 吉田隼人 |
マリアエレーナ | 松山弘平 |
ユーバーレーベン | 未定 |
レッドガラン | 横山和生 |
現時点で名前が挙がっているのは上記の13頭です。
フルゲートは18頭ですので、出走予定馬は更に増えると思われますが、ここではこの13頭の中から、これまで挙げたデータ上、有利になると思われる馬ですが、3頭の3歳馬に注目すべきではないでしょうか。
その3頭とは皐月賞馬ジオグリフと、その皐月賞2着で日本ダービーでも2着だったイクイノックス、そしてジオグリフに共同通信杯で勝利しているダノンベルーガです。
ジオグリフにとって、東京競馬場は新馬戦勝ちを経験した舞台です。
日本ダービーは2,400mという距離が合わなかった可能性があります。
天皇賞と同じ2,000mのG1・皐月賞を勝っている点は見逃せません。
イクイノックスは、今回もC.ルメール騎手が手綱を取ります。
上記にある通り、東京・芝2,000m戦で最も実績を持つ鞍上が手綱を取るのですから、軽視できる筈がありません。
ダノンベルーガも東京競馬場で勝ち星がある馬ですから、コースに対する不安はありません。
3頭とも、2021年の勝ち馬エフフォーリアと同様、日本ダービー以来の実戦となります。
古馬とは初対決になりますが、チャンスは十分にありそうです。
2022年天皇賞(秋)データ分析まとめ
上記でジオグリフ、イクイノックス、ダノンベルーガという3頭の3歳馬を有力馬として紹介しました。
競馬歴が長い人ほど、古馬と初対決となる3歳馬に対する不安を感じるに違いありません。
同世代の馬同士の比較では上位でも、上の世代の馬たちとの比較については全くの未知数です。
そして、この3頭は日本ダービー以来となる休養明けでの参戦です。
休養明けで古馬相手のG1となる点を疑問視する人もいるでしょう。
日本ダービーで勝っている訳ではありません。
ダービー馬ドウデュースはこの天皇賞(秋)ではなく、凱旋門賞に参戦していましたので、このレースに名前がありません。
しかし、競馬歴の長い人はもうひとつ面白いことをご存知の筈です。
こうして3頭の3歳馬に不安材料があるということは、極端な人気にはならないということです。
馬券で絡めて買うと、意外な高配当が期待できるということです。
3歳馬はまだ成長の余地を残しています。
前走までのレース内容では読み取ることができないポテンシャルを秘めている可能性もあります。
そのポテンシャルに賭けるのも、2022年天皇賞(秋)の面白さではないでしょうか。
馬券の面でも魅力的な3歳馬が3頭も存在する天皇賞(秋)は、今後もなかなか見られない可能性もあります。
前年2021年優勝のエフフォーリアに続く3歳馬は、この3頭の中にいるでしょうか。
その答えが判明するのは、10月30日(日)当日です。
発走時刻は15時40分。
ニューヒーロー誕生の瞬間をワクワクしながら待つことにしようではありませんか。