意外と知らない?競馬の配当金が課税の対象となる2つの条件

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競馬 配当 課税

競馬では数千円でもプラスになれば嬉しいものですが、数十万円、数百万円の的中を出す事を誰もが夢見て、実際に出てしまう事もあるのが競馬の世界です。

数百万円の配当を受け取った瞬間は嬉しさのあまり手が震えてしまいそうですが、喜んでばかりもいられません。

はその配当金…課税の対象となることを知っていますか?

今回はその課税の対象となる条件をご紹介します。

1:競馬の配当金が課税対象となる2つの段階

競馬の配当金が課税の対象となるには、2つの段階があります。

  1. 競馬の配当金が一時所得として扱われる
  2. その利益が「50万円」を超える

競馬で的中を出したら、すべてに税金が発生する…という訳ではありませんが、かなり厳しい条件が敷かれています。

はじめに、そもそもどうして税金が発生するのかという部分に触れていきましょう。

1-1:配当金は法的に「一時所得」として扱われる

国税庁のホームページより、所得税法第34条《一時所得》関係を見ると、

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
(1) 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
(2) 競馬や競輪の払戻金
(3) 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
(4) 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
(5) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1490.htm

とあります。

ざっくりいうと、「普通に働いて稼いだお金以外の部分での臨時収入」も課税の対象とする、という事ですが、

この対象例の中に「競馬や競輪の払戻金」と明確な記載がある事からも、競馬の配当金は課税対象として明確に法で定められている事が分かります。

1-2:一時所得が50万円を超えた時点で課税対象となる

配当を得たとしても、50万円を超えない限りは課税対象とはなりません。

これは一時所得の金額が以下のような計算方法によって算出されるからです。

競馬 配当 一時所得

(※)支出金額は、その収入を生じた行為をするため、又は、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限ります。

ここでいう「支出金額」というのは、競馬でいうと「馬券代金」の事です。

つまり10万円の馬券で50万円の的中を手にしたとしても、一時所得は40万円となるので特別控除の範囲内となり課税対象とはならないわけです。

ここまで見ると、「50万円以上も配当出る事は滅多にないし、少額で楽しんでいる自分には関係のない話だ」と考える方も多いのではないでしょうか。

しかしこの「一時所得」というものは、競馬ファンからすると非常に不利な仕組みになっているのです。

2:所得税法が競馬ファンに不利な法律といわれる3つの理由

所得税法により定められたこの「一時所得」の計算が厄介なところは、

・支出として計算される馬券代は、その当たり馬券の代金のみである点
・年間を通したすべての収入を計算する点

の2点です。

これを踏まえて以下3つの理由をご覧ください。

2-1:いわゆる「トリガミ」だった場合も課税される事がある

配当額より馬券代金の方が高くて結局マイナスになった、いわゆる、「トリガミ」だった場合の計算を見てみましょう。

まず「50万円までは特別控除の範囲」という前提条件があるので、

先ほどの説明の通り、「1枚馬券を10万円で購入し50万円の配当を得た」という場合は、収入は「40万円」となるので、当然課税の対象とはなりません。

それでは、「10万円の馬券20枚を200万円で購入し、そのうち1つの馬券が100万円の利益を出した場合」ではどうでしょうか。

買った側の感覚から行くと、「200万払って100万もらったんだから、収入はマイナス100万円だろう」と考えますよね。

しかし、法的には「90万円の利益を出した馬券1枚と、税とは無関係の19枚」という考え方をします。

つまりこの場合でいうと、「100万円の大損をした上に、90万円の一時金にかかる税金まで払わなくてはならない」という納得の行きづらい結果になります。

90万越えの利益 課税対象

2-2:年間収支という考え方は法には通じない

「今年はずっと負け続きで300万の大赤字だったけど、年末の有馬記念でなんと、1万円投資で300万円当たった!」という場合はどうでしょうか。

12月 300万円的中

年末に上手く持ち返して、なんとか1万円の赤字に抑えられた…。そう見えるこの場合も、非常に残念ながら課税の対象となってしまいます。

トリガミの解説と同じく、「こっちからしたらマイナス1万円だ!」といくら主張したところで、

法的には「課税とは全く無関係のハズレ馬券代300万円と、課税対象となる一時所得299万円」という取られ方をされます。

不的中 馬券

2-3:馬券代は一般的には経費にならない

そこまで「収入収入だというなら、こちらが年間で支払った馬券代は経費ではないのか」と疑問を持つ方もいるかと思います。

実は、冒頭でも紹介した所得税法の34条には、馬券・競輪で得た払戻金に、「営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。」という但し書きと共に、以下のような脚注があります。

>競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
>(注)
>1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
>2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1490.htm

とても長い中書きですが、特定の場合にのみ馬券代を経費として認める、という事が記されています。

3:知っておこう!馬券代が経費に出来るたった1つの方法

現在の法律において馬券代を経費として計上出来るのは、

「システムを組んで馬券を自動購入しており、更にそれが客観的に事業として成り立っている」という条件を満たした場合のみです。

この場合、一連の競馬の利益を「一時所得」ではなく「雑所得」という扱いにする事が可能となり、馬券代を経費として収入と相殺できるようになります。

「一時所得」に対して、「雑所得」という言葉が出てきましたが、それぞれの違いを解説しながらどのような計算になるのか解説しましょう。

3-1:一時所得扱いの場合

一時所得の場合は「とあるピンポイントの収入と支出」の合計年間で計算する仕組みになっています。

一般的な競馬ファンのほとんどの場合は「一時所得扱い」となりますので、必要経費として認められるのは配当が付いたその馬券を購入するために使った金額のみです。

つまり、その他や過去のハズレ馬券などが税金とは無関係のものと見なされて、トリガミの場合や年間収支でマイナスの場合であったとしても、課税額が大きくなるのです。

一時所得 計算

3-2:雑所得扱いの場合

一方で、雑所得の場合の計算はこちらです。

「今年はずっと負け続きで300万の大赤字だったけど、年末の有馬記念でなんと、1万円投資で300万円当たった!」

上でも出した例ですが、この場合でもう一度考えてみましょう。

前述の通り「一時所得」として扱われると、299万円が課税対象となるところですが、

「雑所得」として認められている場合は、年間の総収入額から必要経費すべてを引くことが出来ます。

「雑所得」扱いと出来る場合に限り、301万円を全て経費として配当額から引く事が出来るので、「年間で1万円の赤字」となり、課税対象にはなりません。

雑所得 経費 計算

馬券の購入が事業として成立している場合に限り、臨時収入とは言えないので経費として計算する事が出来る、というわけです。

この所得税法34条の条文が追加されるにあたり、とあるニュースが過去に話題になりました。

3-3:通称競馬脱税裁判について

大阪市の元会社員の男性が、2007年から2008年までの間に、市販の競馬予想ソフトをカスタマイズしたものを利用し、28億7千万円の馬券を購入し、30億1千万円の払戻金を得たという、通称競馬脱税裁判と呼ばれている裁判です。

この裁判では、「外れ馬券の代金を必要経費として計算するかどうか」が論点となりました。

最終的には、「得た利益は外れの馬券も含め継続的に馬券を購入した結果によるもので、当たった馬券の購入代だけではなく、外れ馬券も必要経費として計上できる」という男性側の主張が認められ、当初検察から起訴されていた「5億7千万円」から大きく減額された「5千2百万円」の申告義務違反として決着しました。

これは「競馬予想がビジネスとして認められた」という日本で初めての事例であったと言えるでしょう。

4:実際に支払う金額は、所得に対していくらになるか

最期に、課税対象になったとして、一体いくら徴収されるのかについて具体的に紹介します。

繰り返しになりますが、「一時所得」は「50万円を超えた所得」の事です。

ここから実際に課税対象額となるのはこの「一時所得を2で割った数字」となります。

1万円の馬券で81万円の配当を得た場合、50万円を超える利益は30万円となりますので、「30万円 ÷ 2」の「15万円」が実際に税金が計算される金額となります。

課税対象額 計算方法

具体的には、この「15万円」が給与所得に追加される形となるので、年間500万円の所得がある人であれば、「515万分の所得のある人」として所得税・住民税などの計算が行われることとなります。

年収が515万円だった場合は、税法上所得税は約20%、住民税が約10%となりますので、おおよそ3万5千円ほどが税金として徴収されます。

実際に得た利益は30万円ですから、およそ10%ほどが徴収される形となります。決して小さい金額ではありませんよね。

5:払わなかったら税務署にばれるの?

競馬で得た50万円超えの利益は、本来であれば自ら確定申告を行って所得税などの計算に上乗せしてもらわなければなりません。

しかし、実際のところ、特に身分証が必要なわけでもない競馬場に出向いて高額配当を得たとしても、すべては自己申告となりますので、放置していてもお咎め無しで済む場合も多いようですし、実際に真面目に申告を行っている人は10%にも満たないと言われています。

ただし、税務署は個人の銀行口座を確認する事が出来るので、明らかに不自然な大きなお金の動きがあった時には直接連絡が来ることもあります。

また、即パットなどのネットサービスで購入した場合、間違いなく個人情報が残りますので、速やかに申告の準備をすることをお勧めします。

まとめ

競馬の配当金額がどのように課税の対象となるのかを解説しました。

配当は一時金扱いとなるので、年間収支やトリガミなどの競馬ファン側の都合は関係なく、ただ購入した一枚の馬券が50万円以上の利益を出したら課税対象なります。

気付かないうちに脱税していた…なんてことにならないように、税の知識は持っておいても損はないでしょう。

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