2,000m戦で争われる皐月賞。
2,400m戦で争われる日本ダービー。
そして3,000mで争われる菊花賞。
3歳牡馬3冠路線の最終戦,菊花賞は長距離戦です。
出走馬はスタミナが要求されることは言うまでもありませんが,長丁場だけに,レース展開も勝敗を左右する重要な要素となります。
今回は、2022年の菊花賞をレース展開という視点で分析してみたいと思います。
菊花賞での高配当的中を果たす上での参考になれば幸いです。
1:菊花賞2022のレース展開の3つのポイント
まずは、2022年菊花賞の展開予想をする上で押さえておくべきポイントをまとめておきましょう。
案外、見落とされがちな内容もありますので、当たり前だと思わずに見直す必要がある内容ばかりです。
ポイント①:2022年も阪神競馬場が舞台
前年2021年の菊花賞は、京都競馬場の改修工事に伴い、阪神競馬場で行われました。
京都の改修工事は2022年も続いており、前年に引き続き、京都競馬場ではなく、阪神競馬場で行われます。
京都競馬場名物でもある、外回りコースの3コーナーにある「淀の坂越え」は2022年もありません。
その代わり、阪神競馬場には最後の直線に坂があります。
脚の使いどころが京都と阪神では異なります。
長距離戦は途中でロングスパートをかける馬も珍しくなく、展開予想をする上で、大きなポイントになりがちですが、それぞれのジョッキーの判断も京都と阪神では異なります。
阪神競馬場のコースを得意とする騎手をデータから探し出す必要があるかもしれません。
ポイント②:まずは逃げ馬を探せ!!
その阪神競馬場で行われた2021年の菊花賞は、タイトルホルダーが逃げ切り勝ちを決めました。
このレースを見て、「長距離の逃げ馬、短距離の差し馬」という格言を思い出した人もいたのではないでしょうか。
長丁場のレースである分、道中ではどの騎手も自分の馬が折り合っているのか、どうか、が気になるものです。
その分、逃げている馬のマークが甘くなりがちです。
タイトルホルダーは、その後もG1を2勝するなど地力が高い馬だったことも勝因ではありましたが、当時はまだ4番人気の馬であり、他の人馬たちのマークが甘くなった点も否めません。
「淀の坂越え」がない分、4コーナーから最後の直線に入るまではスタミナの消耗が少なくなる可能性を考えると、逃げ馬がどの馬になるのか、よく考えておく必要があります。
ポイント③:騎手と展開を考える際に知っておきたいこと
騎手同士の駆け引きも多い長距離戦です。
騎手に関するデータに目を向ける必要があります。
ここでは乗り替わりに関するデータを確認します。
近10年の菊花賞におけるデータです。
前走から騎手が乗り替わっている馬 | 9・6・8・98 |
前走と同じ騎手が騎乗している馬 | 1・4・2・52 |
近10年で前走から騎手が乗り替わりで勝利したケースは一度しかありません。
レース展開を考える上で、その馬について熟知した騎手が騎乗しないと、菊花賞優勝騎手になるのは難しいことを、このデータは示しています。
外国人騎手が短期免許で来日する時期である上に、騎乗停止なども乗り替わりの理由になりやすいのですが、このデータを見る限り、乗り替わりはプラス材料とは言い難いようです。
2:菊花賞2022の展開予想
次に現時点で菊花賞への参戦が見込まれている馬たちを確認し、展開面から有利になると思われる馬をピックアップしてみたいと思います。
この記事を書いている10/5時点で、トライアルレースの結果や、各メディアの報道を元にした出走予定馬は次の通りです。
現時点で名前が挙がっているのは、次の16頭です。
菊花賞のフルゲートは18頭ですので、新たに名前が加わる馬や入れ替わり等が発生する可能性があることをご承知おきください。
出走予定馬 | 騎乗予定騎手 |
アスクビクターモア | 田辺裕信 |
アスクワイルドモア | 未定 |
ヴェローナシチー | 川田将雅 |
ガイアフォース | 松山弘平 |
サトノヘリオス | 未定 |
ジェンヌ | 未定 |
ジャスティンパレス | 鮫島克駿 |
セイウンハーデス | 幸英明 |
セレシオン | 福永祐一 |
ディナースタ | 横山和生 |
ドゥラドーレス | 未定 |
ビーアストニッシド | 岩田康誠 |
フェーングロッテン | 松若風馬 |
プラダリア | 池添謙一 |
ポッドボレット | 未定 |
ボルドグフーシュ | 吉田隼人 |
ヤマニンゼスト | 武豊 |
2-1:菊花賞2022で先手を取れる馬
上記の16頭中、逃げる競馬を経験している馬は、アスクビクターモアとフェーングロッテンの2頭しかいません。
このどちらかが先手を取る可能性が高いでしょう。
アスクビクターモアは3走前の皐月賞で逃げの手に出て、5着という結果でした。
その後の日本ダービー(3着)、セントライト記念(2着)では逃げず、番手からのレースでした。
フェーングロッテンは、3走前の白百合ステークスで逃げ切り勝ちを決めています。
その後のラジオNIKKEI賞(1着)、新潟記念(3着)は、いずれも番手からのレースでした。
逃げる競馬で結果を残しているのはフェーングロッテンの方ですので、どちらかと言えば、フェーングロッテンがハナに立つ可能性が高いと思われます。
但し、近2走は逃げておらず、しかも控える競馬で勝利していますので、逃げの手には出ないかもしれません。
その場合は、アスクビクターモアが押し出されるようにハナに立つ可能性もありそうです。
2-2:菊花賞2022で注目の差し馬
番手からレースを進める馬で注意したいのは、ディナースタという馬です。
夏に札幌で1勝クラス、2勝クラスを連勝した馬で、まだ3勝クラスにも出走可能な馬ですが、主戦の横山和生騎手騎乗が既に決まっているようですので、菊花賞へ駒を進めるものと思われます。
札幌での2戦はいずれも芝2,600m戦でした。
現在の札幌競馬場では最も長い距離設定です。
ディナースタは2戦ともロングスパートから早めに先頭に立ち、そのまま押し切るスタイルでの勝利でした。
スタミナに自信があるからこそのレースぶりと考えていいでしょう。
阪神競馬場は未勝利戦を勝ち上がった舞台でもありますので、コース実績も不安はありません。
3:菊花賞2022のペース分析
積極的に逃げたい馬がいない顔ぶれになりそうですので、基本的にはスローペースになると思われます。
3,000mという距離は、出走予定馬全頭が初めての距離となります。
我慢比べの一戦と考えていいでしょう。
但し、途中で我慢が効かなくなってしまった馬が動き出したり、前述したディナースタがロングスパートをかけるタイミング次第では、レースの途中から急に流れが速くなる可能性もあります。
その場合、最後の直線にある坂がレースの結果に大きな影響を及ぼすかもしれません。
菊花賞の展開予想まとめ
2022年の菊花賞は、ドウデュース、イクイノックスという、ダービー1・2着馬が不在という状況下で行われます。
この2頭が出ていれば、後方から鋭い決め手を活かして伸びてくる姿を頭に入れながら、馬券検討をする必要がありました。
騎乗するジョッキーたちも、後方でレースを進める馬の姿を頭に入れながらのレースとなった筈です。
しかしこの2頭がいない以上、馬に乗っている人も、馬券を買う人も、その意識を変えなければなりません。
春の主役たちがいない寂しさはありますが、一方でニューヒーローの出現と高配当への期待が膨らむ菊花賞となりそうです。
春に悔しい想いをした馬なのか?
それとも、その春の舞台には間に合わなかった馬なのか?
2022年菊花賞は、10月23日(日)に阪神競馬場の芝3,000mで争われます。