9月になり、中央競馬の舞台が中山競馬場と中京競馬場に移りました。
秋競馬が始まっています。
G1戦線も近づいています。
10月の最初の週末に行われるスプリンターズステークスで、秋のG1戦線は幕開けします。
今回はそのスプリンターズステークスを「展開」という視点で探ってみたいと思います。
1:スプリンターズステークスのレース展開をする上での3つのポイント
まずは、近10年のスプリンターズステークスのデータを振り返りながら、2022年のスプリンターズステークスを展開面から予想する上で、考えるべきポイントを3つご紹介します。
近10年のスプリンターズステークスにおける脚質別成績は次の通りです。
逃げ | 0・3・1・6 |
先行 | 1・3・2・27 |
差し | 8・4・5・48 |
追い込み | 1・0・2・50 |
このデータを元に、次の3つの視点について解説します。
ポイント①:意外なことに逃げ馬が不振
6ハロン戦で争われるスピード勝負のG1、スプリンターズステークスですが、近10年は逃げ馬が全く勝利していません。
スタートダッシュが良い馬でも、そのまま押し切ることが難しくなっているのです。
中山競馬場は4コーナーから直線までの距離が短い競馬場ですので、追い込み馬が勝利したケースも、グランアレグリアが勝利した2020年のみですが、そのグランアレグリアを含む10頭中9頭が道中では中団よりも後方のポジションから決め手を活かして勝利している点に注目すべきです。
逃げ馬の直後のポジションでレースを進め、4コーナーから最後の直線で抜け出す先行馬も、近10年では1勝のみである点も注意したいところです。
ポイント②:逃げ馬はヒモ候補で押さえるべき
近10年で逃げ馬が勝利したケースはありませんが、別の角度から見ると馬券検討をする上で、面白いデータが見えてきます。
逃げ馬は近10年で2着馬が3頭、3着馬が1頭出ています。
連対率30%、複勝率40%ということになるのです。
先行馬、差し馬、追い込み馬よりも高い数値となっています。
つまり、逃げ馬は近10年で勝ち馬は出ていませんが、馬連・馬単・3連複・3連単のヒモ候補としては、絶対に押さえるべき1頭なのです。
ポイント③:当日の天候・馬場状態に注意
スプリンターズステークスを勝利した逃げ馬というと、カルストンライトオ(2004年)、テイクオーバーターゲット(2006年)、アストンマーチャン(2007年)、ローレルゲレイロ(2009年)を思い出す人もいるかもしれません。
カルストンライトオとアストンマーチャンが勝利した時のスプリンターズステークスは、不良馬場で行われました。
テイクオーバーターゲット優勝時は、良馬場発表でしたが、小雨の中でのレースでした。
雨で馬場状態が悪化した時は、逃げ馬にチャンスが回ってくると考えていいでしょう。
この逃げ切り勝ちを決めた4頭は、いずれも10年以上前に勝利していますので、今回集計した近10年のデータ外の馬たちということになります。
実は近10年のスプリンターズステークスで良馬場ではなかったのは、2018年の1回しかありません。
近10年で逃げ馬が勝利していない背景には、こうした事情もあるのです。
スプリンターズステークス当日の天候・馬場状態には要注意です。
2:スプリンターズステークス2022の展開予想
次に、2022年のスプリンターズステークスに向けて行われたステップレースの結果や、各メディアの報道等により、2022年スプリンターズステークスに出走すると思われる馬たちが、どんな展開でレースを挑むことになるのか、予想してみました。
2-1:スプリンターズステークス2022で先手を取れる馬
現時点で2022年スプリンターズステークスへの出走を予定している馬で、逃げ馬と呼べる馬は1頭しかいません。
7月のCBC賞で逃げ切り勝ちを決めたテイエムスパーダは、続く8月の北九州記念でも逃げの手に出ています。
前走で逃げる競馬をした馬はテイエムスパーダ1頭のみで、2戦連続で逃げていますので、スプリンターズステークスでも楽に先手を取ることができると思われます。
2-2:スプリンターズステークス2022で注目の差し馬
2022年スプリンターズステークスで単勝オッズ1番人気が予想されるメイケイエールは、快勝したセントウルステークスと同様、好位5〜6番手のポジションで流れに乗ると思われます。
また、テイエムスパーダと同じ3歳馬で、葵ステークスを勝利しているウインマーベルも、メイケイエールとほぼ同じポジションか、やや後ろからレースを進めることになるでしょう。
3月の高松宮記念を優勝したナランフレグは、当時と同じように後方からの追い込みにかけると考えられます。
2021年のNHKマイルカップを勝利したシュネルマイスターが2022年のスプリンターズステークスに参戦するという情報がありますが、これまで経験したレースの中で、最も短い距離だったのが新馬戦の1500mという馬ですので、未経験の1200m戦では後方からのレースを強いられることになりそうです。
3:スプリンターズステークス2022のペース分析
逃げ馬がテイエムスパーダ1頭というのは、スプリンターズステークスとしてはかなり異例と言わざるを得ません。
テイエムスパーダはCBC賞優勝時、前半の3ハロンを31秒8という、驚異的なハイペースで飛ばしながらも、そのまま押し切ってしまいました。
続く北九州記念は32秒8と、やや控え気味に逃げたことが、最後の直線で後続に捕まる原因となった可能性があります。
後続にマークされないよう、再び前半3ハロンを32秒を切るタイムで入ることも十分に予測されます。
ローカル平坦の小倉競馬場で行われたCBC賞と違い、スプリンターズステークスが行われる中山競馬場は最後の直線に坂がありますので、この坂を考慮したペース配分になる可能性もありますが、近2走から超ハイペースになることは頭に入れておくべきでしょう。
スプリンターズステークスの展開予想まとめ
上記でも触れた通り、2022年のスプリンターズステークスは、超ハイペースで飛ばすテイエムスパーダを後続の人馬がマークする形でレースを進めることになりそうです。
近10年は逃げ馬が勝っていないレースであることや、テイエムスパーダがCBC賞を勝った時は48キロという軽ハンデが味方した点も考慮する必要はあるでしょう。
しかし、そのテイエムスパーダのマークが甘くなると、CBC賞と同様の結果が再現される可能性も否定できません。
さらに雨が降って、差し・追い込み馬に有利とは言えない馬場状態になってしまった場合は、多くの競馬ファンが想定していない結果が待ち受けているかもしれません。
2022年のスプリンターズステークスをレース展開という視点で見ると、1分7秒前後の短い時間でくり広がられる、人馬たちの駆け引きが非常に興味深いレースと言えるでしょう。
逃げるテイエムスパーダを、どの馬がどの位置で捕まえに行くのか?
もし、他の人馬たちの仕掛けが遅れてしまうとどうなるのか?
2022年10月2日(日)は凱旋門賞と共に、非常に興味深いドラマを目撃することになることが予想され、競馬ファンとしては最高の1日を過ごすことになるでしょう。